【前編】あなたも持っている? 組織を変える19の特性
Outline
組織に変革をもたらす人に、共通点はあるのだろうか。その人たちが持つ特性を知ることで、人材の抜てきや育成の道筋を描くのに役立つかもしれない。本連載は、POTInstituteが主な研究の対象にしている変革人材について、その…
組織に変革をもたらす人に、共通点はあるのだろうか。その人たちが持つ特性を知ることで、人材の抜てきや育成の道筋を描くのに役立つかもしれない。
本連載は、POT Instituteが主な研究の対象にしている変革人材について、その特徴や活かし方、発掘方法などを解説している。前回は、変革人材と優秀人材の違いについて述べた。本記事では変革人材が持つ19の特性を前後編に分けて紹介する。職場に潜む変革人材を見出し、活躍させるための土台となれば幸いだ。
変革人材の特性は、“万能”ではない
POT Instituteは、これまで新規事業開発をはじめとした変革期の企業活動を多数支援する中で、そこに携わる人物が持つ特長的な特性をもとに「変革人材」を定義した。注意してほしいのは、これから挙げる特性をすべて持ち合わせている人だけが変革人材ではないということだ。強いひとつの特性を持つ変革人材もいるし、複数の特性を併せ持つ変革人材もいる。
また、これらの特性を持っていることが、直ちに良い結果を導くとは限らない。つまり、変革人材の特性は“万能”ではない。たとえ変革人材の特性を持っていたとしても、必ずしも仕事がすべてうまくいくわけではないのだ。実際、これらの特性が足を引っ張るケースも存在する。例として、「楽観的」という特性を考えてみよう。
楽観的な性格が常にプラスに働くわけではない。むしろ普段の仕事の中で、ものごとを楽観視しすぎると、リスクを過小評価してしまったり、反省や学びの機会を逸してしまったりする可能性が高まる。
他方で、楽観的な特性が真に力を発揮する状況もある。それは、これまでの考えや行動の積み重ねが間違っていたと気づいた時、あるいは予期せずに道が閉ざされた時など、困難な状況に直面した場面だ。
楽観的な性格の人は、こうした状況下でも凝り固まった考えにとらわれず、驚くほど柔軟な視点で物事を捉えられる特性を持っている。その柔軟性は、一見すると無責任にも見えるほどの自由度を持つ。そして軌道修正や新しい学びの取得、すぐに行動に移す、などのアクションに繋がる。この特性は、計画通りにものごとが進まない時や行き詰まった時、どう振る舞うべきかを示す“突破の鍵”として機能するのだ。
「変革人材」の特性は、万能ではない。むしろ万能ではない特性が多いからこそ、多様性がある。それぞれの特性が特定の状況下での存在感を発揮することが、変革期の企業活動において、突破の鍵を握っているのだと捉えられるのだ。
まず、私たちが明らかにした19の特性全体を眺めてみてほしい。大きく4つのカテゴリに分かれ、その下に19の特性が並んでいる。

場が硬直したときに活きる変革人材の考え方
まず、「ものごとの捉え方」のカテゴリに括られている4つの特性をみていこう。これらの特性を持ち合わせている人物は、物事を柔軟に捉えながら自律性を持ち合わせている。そのため、先行き不透明な業務や課題にもストレスを感じにくく、足を止めずに取り組める特徴がある。
-
思いを実現する:
自分の可能性を最大限に活かし、ポジティブに物事に取り組む特性。自己実現の思いが強く、自分の中にあるWill(やりたいこと・成し遂げたいこと)起点で物事を進める特徴がある。
新規事業を山登りに例えるなら、初期フェーズ、つまり山のふもとから登り始める段階では、様々な困難や挑戦が待ち構えており、一歩一歩進むためには苦しくなることもしばしば。ヒアリングの量を増やし、アポイントの時間をつくり、話を聞いた人からもらったフィードバックをまとめ、それをもとに仮説を修正する……。こうしたタスクは、大きなエネルギーと意欲が要求されるものばかりだ。
このような場面で、事業を推し進める原動力となるのが、「実現させたい」「夢を叶えたい」「理想の未来に一歩でも近づきたい」という強い意欲だ。熱意を持ち、事業を実現するための行動力に変えられるのが、この特性を持つ人材だろう。
-
楽しむ:
どんな状況でも楽しさを見つける特性。想定外のこと、予想外のことが起きる困難な状況でもポジティブな側面を見つけ、それを楽しみながら問題を解決していく。
-
曖昧を許容する:
はっきりしない曖昧な状態や、先が見えないことに対して不安を感じにくい特性。例えば、プロジェクトの初期段階では答えが見えない状況が多いが、その状況を重く捉えずに、心折れることなく前に進める力がある。
-
楽観する:
何事に対しても前向きに捉えなおすことができる特性。たとえチームが難しい状況におかれても、その中に潜む可能性を見つけ、それを最大限に活用しようとする。

変革人材は、曖昧な状況に耐えて前向きに進んでいくことができる
物事を深刻に捉えないことが、どの場面でも良いわけではない。楽観するばかりでは、リスクを低く見積もってしまい、危機を避けられなくなるかもしれないし、失敗しても反省しない、学ばないということにもなりがちだ。柔軟な捉え方が活きるのは、次に何をしたら良いのか不透明になった瞬間、硬直しがちな状況で次の一歩を踏み出さなければならないような時だ。
“落ち着きがない”特性が突破力に
次の4つは「行動特性」というカテゴリだ。
-
新しさに臨機応変:
知的好奇心が旺盛で、新しいことに対する興味や想像力が豊かである特性。常に新しい知識やスキルを獲得し、新たな課題にも積極的にチャレンジする。新しいことに苦手意識を持つどころか、むしろ好きだと考えている。
-
自己を貫徹する:
自分自身の信じていることを、意志を強く持って最後までやり抜きたいと考える特性。自分の軸があるのが特徴のひとつで、簡単に物事を諦めない傾向がある。
-
大胆に行動する:
後先考えずに興味があることに挑戦する特性。結果次第では無謀とも取れる行動力だが、新たな価値を創造する源泉にもなる。ハードルが高くても挑戦してみよう、と考える特徴がある。
-
まずやってみる:
わからないならまずやって確かめてみたい、と考える特性。行動し始めるときのためらいが少ない傾向がある。「大胆に行動する」特性と近い関係にあるが、この特性は動き出しのハードルが低いところに特徴がある。新規事業で何かわからないことが出てきたら、とりあえず聞きに行ってみよう、というフットワークの軽さがチームに勢いを与える。

変革人材は一歩を踏み出し、物事を動かしていく行動をする
これらの行動特性も、どちらかというとバタバタしていて落ち着きがないような印象を示すものが多い。しかし、止まっていては何も進まない事業開発などの企業活動においては、物事を前進させる重要な鍵を握る特性群といえる。
ここまで、「ものごとの捉え方」「行動特性」の2つの特性群を紹介した。「関係性構築力」「思考傾向」については後編の記事で解説する。
執筆:平尾譲二
編集:高村真央