【リーダー考】どんな変化にも適応する組織に。「コーチ型」リーダーシップのススメ

【リーダー考】どんな変化にも適応する組織に。「コーチ型」リーダーシップのススメ

コラム

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昨今、人的資本経営の一環として、リーダーやマネージャーの育成に力を入れている企業は多いと思います。そこで、私の専門領域であるコーチングやリーダーシップの知見を生かしながら、リーダーシップについて考えていく連載コラムを始め…

昨今、人的資本経営の一環として、リーダーやマネージャーの育成に力を入れている企業は多いと思います。そこで、私の専門領域であるコーチングやリーダーシップの知見を生かしながら、リーダーシップについて考えていく連載コラムを始めます。日本企業では自ら方針を決めてメンバーを率いる「指示命令型」のリーダーシップが主流ですが、今回は「コーチ型」のリーダーシップについて考えていきます。

プロフィール

小谷 奉美(POT Institute 主席研究員)

株式会社Seize The Day 代表取締役 / POT Institute 主席研究員
コロラド大学デンバー校ビジネス学部金融学科卒
インテル株式会社で社長補佐官として、役員と共に経営戦略、事業の方向性、コミュニケーション戦略の策定から発信まで一貫して取り組むなど幅広い責務を遂行。2016年に株式会社Seize The Dayを立ち上げ、これまでの豊富な職務経験を活かし、これまでにFortune500企業を含む世界20か国以上の企業において、200名を超える経営トップや役員にエグゼクティブ・コーチングを行い、さらにリーダーシップトレーナーとして、3000人以上のリーダーに対しマインドセット変革など、リーダー育成を行う。また、システムコーチングの手法を用い、グローバル企業の組織開発コンサルティングも手がけている。さらに、2021年よりPOTに参画し、主席研究員としても活動中。公認心理士として心理学の知見を活かしパーソナリティ心理学の研究を行う。人の特性や組織文化の評価に関するアセスメントの開発から製品化まで一貫して手がける。また、人材育成・組織開発への応用に向けた研究やプログラムの開発も行なっている。

部下の主体性を引き出す「コーチ型」のリーダーとは

まず、「コーチ型」のリーダーシップとはどのようなものなのか説明しましょう。これはアメリカの心理学者、ダニエル・ゴールマン氏が提唱した6つのリーダーシップのうちの1つです。質問や傾聴、共感を通して部下のスキルや能力を引き出し、部下自身が強みを発揮しながら問題解決するためのサポートをするリーダーシップを指します。

「コーチ型」のリーダーはコーチングの技術を使ってメンバーとコミュニケーションをとります。コーチングとは、対象者に答えを教えるのではなく、対象者が自ら答えを考え出す支援をするコミュニケーション方法です。車の運転で例えると、部下が車を運転をし、助手席に乗って部下のサポートをするようなものです。自ら運転席に座り、向かう方向を決めたり、どのように進んでいくのかを決めたりするのは部下の役割。あくまでも助手席でサポートするのが、コーチの役割になります。

小谷出演のNewsPicks Learningから抜粋

部下と会話をするとき、目的と時間軸によってコミュニケーションの方法を変える必要があります。ティーチングやメンタリングなどに比べ、コーチングは最も部下の主体性を尊重する手法です。現状の課題を理解し、そこから未来に向けて課題解決の方法を見出す支援をするという特徴があります。

そのためコーチングは部下の主体性を重んじることができる一方で、自己変容が起きるまでには時間がかかるという側面もあります。「コーチ型」のリーダーは、コーチングを得意な手法として持ちつつ、部下の状況に合わせてティーチングやメンタリングなども使い分けていく必要があるといえます。

小谷出演のNewsPicks Learningから抜粋

部下の経験やスキルが高く、課題の緊急性が低い場合には、自ら答えを探し出すよう促すコーチングが1番向いています。スキルが低い場合には、ティーチングも交えつつ、コーチングをするのが良いでしょう。一方、緊急性が高い場合にはコーチングはあまり向いていません。その場合には、部下のスキルに合わせてティーチングやコンサルティングといった手法を選ぶのが良いと思います。

部下の自己認識力を高めることが第一歩

「コーチ型」のリーダーがコーチングを部下に行う場合、ひとつ留意すべきことがあります。

それは、コーチングを受け入れる姿勢を部下が持っているかどうかという点です。部下自身が変わること、すなわち自己成長への興味があるかどうかを見ることで、コーチングを受け入れる姿勢があるか判断できると思います。自己成長への興味が低い場合、コーチングへの意欲が低く、効果が出にくいです。こういう場合には、モチベーションが湧くような仕組みを組織やチーム内で作ることが先決になるでしょう。

小谷出演のNewsPicks Learningから抜粋

部下の自己成長へのモチベーションが高まり、コーチングを始める土台が整ったとしましょう。早速、コーチングを始めたいところですが、上司がコーチングに臨む上で、重要な心構えがあります。それは、「相手を尊重する」心構えを持つことです。

上司は部下を評価する立場なので、無意識のうちに部下に対してバイアスを持っていることがほとんどです。例えばいつも落ち着きがなく小さなミスを起こす部下に対して、「また間違えるのではないか」とはじめから思ってしまいがちです。そうしたバイアスを持ったままコーチングを行うと、コーチングの効果が半減してしまいます。コーチングをする際には、相手を尊重するという意識を持ち続けて部下に接することで、部下の主体性を引き出し、課題解決や目標達成を支えるコーチングを実現することができるようになります。

コーチングで重要なスキルは、

①質問:相手に効果的な質問をする

②傾聴:相手に全ての意識を注いで話に耳を傾ける

③伝える:コーチからの景色を相手に伝える

④承認:相手の言動を認め、褒める

の4つです。中でも、「効果的な質問」をすることは自己認識の力を高める上でとても重要になってきます。

「質問方法」を工夫して自己認知向上の支援

質問には大きく、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの2つの種類があります。

小谷出演のNewsPicks Learningから抜粋

オープンクエスチョンは自由に答える質問、クローズドクエスチョンは、はい/いいえで答える質問です。コーチングでは、相手の情報を多く知ることができるオープンクエスチョンを使うことが推奨されています。

クローズドクエスチョンを多用すると、部下の考えを引き出せず、上司の意見に誘導してしまいがちだといいます。部下の話を聴き、課題解決をサポートするコーチングでは、適切な質問の方法とは言えないでしょう。

クローズドクエスチョンが推奨されない理由はもうひとつあります。普段、上司と部下のコミュニケーションはクローズドクエスチョンを使う傾向があるのです。そのため、意識的にオープンクエスチョンを使っていくのが良いでしょう。

時代のスタンダードになるか。「コーチ型」リーダーシップ

ここまで、コーチングの効果や方法についてまとめてきました。最後に「コーチ型」のリーダーは、組織にどのような影響をもたらすのか考えたいと思います。

部下の話を傾聴し、部下が自律的に仕事に向かえるよう促すコーチングが当たり前になることは、心理的安全性の高い職場づくりにつながります。職場の心理的安全性が高まれば、社員が自由に意見を交わすことができ、そこから新しい事業アイデアが生まれる可能性も生まれます。

また、将来を予測するのが難しい不確実な時代といわれている今だからこそ、「コーチ型」のリーダーが必要になると私は考えています。コーチ型のリーダーの下では、変化に柔軟で自由に創造できる社員が増えるはずです。そうすれば、外部環境の変化に適応していくことができる組織となるでしょう。

社員一人ひとりが自分の能力や強みを認識し、それを生かして目的に向かっていくことができれば、組織の成長と社員のウェルビーイングを両立できるに違いありません。これからの時代、「コーチ型」のリーダーが増えていくのではないかと感じています。

では、また次のコラムでお会いしましょう。


本記事は、POT Instituteの取材に基づくものです。

お問い合わせは jinzai@alphadrive.co.jpまで

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